猫かわいがり

 

「兄さん!!見て見て!!猫だ!!」

 

アルは猫が好きだ。

 

猫に限らず小さい生き物が好きだ。

 

 

「可愛いよね〜。・・・・・あはは!くすぐったいよ!・・・・・お腹空いてるのかな?」

アルの指をペロペロと舐める子猫は「ミャ〜ン」と返事をした。

 

「僕の言葉が分かるみたいだ!」

「そんなわけねーだろ・・・・・・。」

 

 

なんだか面白くない・・・・・。

いつもアルが小動物を可愛がってると胸がムカムカしてくる・・・・・・。

俺って、動物虐待の素質があったのか・・・・・?

 

 

「僕、ミルク持ってくる!!」

アルはそう言うと家に走って戻って行った。

 

 

取り残された俺と子猫・・・・・・・。

双方、睨み合いが続く・・・・・・・・。

 

 

 

なんだかなぁ・・・・。

「はぁ〜。」

子猫相手に何してるんだか・・・・・・・・。

 

 

「おい、猫。」

俺が子猫を呼ぶと愛想よく俺に擦り寄ってきた。

なんか・・・・・・可愛い・・・・・・かも。

俺って別に動物虐待の素質があったわけじゃねーのか・・・。

 

 

「あははは。マジくすぐってーって。」

ひょいと抱き上げると、子猫は俺の顔をペロペロと舐めまくった。

 

 

「兄さん!」

 

ぎっくーん!!

 

 

 

慌てて、子猫を地面に降ろす。

 

 

 

「な・・・・・なんだよ・・・・。」

「仲良くしてくれてたみたいで安心したよ。くすっ。」

「べ・・・別に仲良くしてたわけじゃねーぞ!」

「はいはい。」

 

 

アルは子猫に向き合って持ってきたミルクを皿の上に出してやる。

「ほら。おあがり。」

子猫は鼻面をミルクに突っ込んでペロペロとミルクを飲みだした。すごい勢いだ・・・。

「あはは。よっぽどお腹が空いてたんだね。」

 

 

 

 

なんだか、また胸がムカムカしてきた・・・・・。

わかった!俺、胃が悪いんだ!!ストレス溜めてるのかなぁ〜。

 

 

「にーいさん!」

「おわっ!?」

アルがいつの間にか俺の目前にやってきていた。

 

 

「兄さんもお腹空いたんじゃない?」

「ミルクならいらねーよ・・・・。」

 

うひー!!牛から出た液体なんて・・・・・ぜってー、飲みたくねー!!

 

「ミルクじゃないよ(苦笑)・・・・ほらチョコレート!」

「お!やっりー!!いただきまー・・・・・・・。」

俺が伸ばした腕から遠ざけるようにチョコレートを隠すアル。

「くれんじゃなかったのかよ?」

「あげてもいいけど・・・・・・・、あの子猫と同じことしてくれなきゃ。」

「?」

 

 

子猫と同じこと・・・・・?

あの子猫はアルに腹が減ったか聞かれて『ミャー』と返事しただけだぞ・・・・・?

「みゃー。」

子猫と同じように鳴いてみる。

「くすっ。それも結構クルけど・・・・・・。その前だよ。」

『ミャー』と鳴く前・・・・・?確か・・・・・・アルの指を・・・・・・・

「舐めろってか!?」

思わず叫んでしまった声にアルは満面の笑みで頷く。

 

 

「いや・・・・・・でも・・・・・・・・なぁ?」

「大したことないじゃん?ケガしたって舐め合いっこしてるんだし。」

 

 

それは・・・・・・そうかもしれないんだけど・・・・・・・・・・・。

 

 

なんか気恥ずかしい・・・・・・。

 

「ほら。」

アルが手を差し出す。

 

 

頭が茹だって硬直している俺にアルはゆっくりと指を俺の口元に近づけてくる。

アルの指が俺の唇に触れたとき、俺は無意識に口を開いていた。

「ぺろ・・・・・・ぺろ・・・・ぴちゃぴちゃ・・・・・・・・・っ・・・ぴちゃ」

アルの指を夢中で舐める。

アイスキャンディーを舐めるように・・・・・・・・なんだか甘い気がした。

 

 

アルの指を舐めるのに夢中で・・・・・・・気がつくとアルの顔が5cmも無い距離に近づいていた。

 

 

あ・・・・・・・。これって・・・・・・・・・。

 

 

キス・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

指が引き抜かれて唇が重なる・・・・・・・・・。・・・・・・・甘い・・・・・・・・・・。

 

 

 

 

アルの舌が俺の口内に入ってくる。甘い甘い香りと共に・・・・・・・・。

俺はその甘さに夢中で吸いついた。

「ふぁ・・・・・・・・・ん・・・・・・ぅ・・・・・・・ん・・・・・・はっ・・・」

アルの舌が俺の口内を縦横無尽に舐め回す。

ぶるっと体が震えて・・・・・・・くすぐったいより強烈な感覚が襲う。

「ん・・・・・・ちゅっ・・・・・・・・はっ・・・・・・あっ・・・・・・ん」

長い長い口づけから開放されると俺の足はガクガクと震えて立てなくなってた。

 

 

へたっと地面に座り込む俺の顔を覗きこんでアルは言った。

「チョコレートおいしかった?」

「・・・・・へ?」

「口移しで食べさせてあげたでしょ?」

え・・・・・え・・・・・・え・・・・・・・あの甘さはチョコレートだったのか・・・・・・。

深い口づけを思い出して、また体が熱くなる。

 

 

「兄さんが猫だったら毎日エサを口移しであげるのにな。」

 

 

 

 

 

 

 

体がもたないので遠慮しておきます・・・・・・・・・。