上目遣い

 

 

「兄さんv」

 

「にーさんv」

 

「にーいさんvv」

 

 

 

僕は、どうすれば兄さんの目に可愛く自分が映るのか心得ている。

 

弟らしく庇護の対象として、甘え頼ること・・・・・・。

 

それが兄さんを上機嫌にするコツ。

 

 

 

 

「なんだよ、アル。甘えたって許してやんないぞ!」

 

 

兄さんは、口ではそんなことを言ってても嬉しそうに頬を緩める。

 

「・・・・・・・・ったく!アルはずるいよな。可愛く甘えられたら、許したくなっちゃうぜ。」

 

そう言って兄さんは、僕が兄さんのおもちゃを壊した件は許してくれた。

 

 

 

 

そんな兄さんが可愛くて、僕は兄さんに口づけするため顔を近づける・・・・・。

 

 

 

 

「アル・・・・・・・?」

 

突然顔を近づけた僕に、兄さんが不思議そうに小首をかしげた。

 

 

「・・・・・・・!」

 

僕は胸の高鳴りに慌てて身体を兄さんから離し、熱くなった顔を反らす。

 

兄さんの上目遣いで僕を見上げる仕草だけで、僕は身体中に甘い痺れと興奮を走らせる。

 

その顔でお願いされたら、どんなことだって聞いてあげたくなる。

 

僕みたいに意識してやってるんじゃ無いから、余計に性質が悪いよね・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

本当は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・兄さんのが、ずるいんだよ。